Greetings 挨拶
世界最高の性能を発揮し、日本の計算科学を飛躍的に発展させたスーパーコンピュータ「京」。
その「京」の後継機となる「富岳」は、性能の向上はもちろん、「京」の資産を継承し より幅広い分野での活用が期待されています。
このフォーラムでは、現在2021年度の共用開始を目指し開発が進められている「富岳」の最新情報や期待される成果について、ご紹介いたします。
※これから「富岳」をはじめとしたスパコン(HPCI)の利用をご検討している方への相談コーナーもございます。(HPCIについて詳しくはこちらへ)
講演者・講演内容 ご紹介
Session1 「富岳」の始動 ~産学官協働によるイノベーションへの期待
スーパーコンピュータ「富岳」の特長とSociety5.0への貢献に向けて
松岡 聡
理化学研究所 計算科学研究センター
センター長
科学技術政策の動向と「富岳」への期待
高原 勇 氏
内閣府大臣官房審議官(科学技術・イノベーション担当)
Society5.0の実現の場としてスマートシティが着目されています。さまざまなIoTデータが世界各国で収集・解析され、まちづくりや都市行政へ活用されつつあります。本講演では、科学技術政策の動向と「環世界」を例示したスマートシティへの「富岳」の応用と期待を述べます。
スマートな道路インフラマネジメントに向けてのチャレンジ
金治 英貞 氏
阪神高速道路株式会社 フェロー(技術推進)
これからの高速道路は、ネットワークとしてより安全,安心,快適な道路へと進化を続けなければいけません。その一例として、阪神淡路大震災から25 年をへて、益々重要となる地震への備えや、国策のSociety5.0 への取り組みも重要となっています。講演では、これらを実現する技術経営に資する取り組みについてご紹介したいと思います。
Leading the way in improving life
Brent Gorda 氏
Senior HPC Executive, Arm Inc.
With the creation of the world's most efficient Super Computer architecture, the new Japanese technology is positioned to become a world leading tool in improving quality of life. Traditional scientific simulations will be able to pursue the state of knowledge and a number of new initiatives (such as AI) will be enabled. This talk will discuss the significance of the new technologies and possible impacts.
Session2 「富岳」から生まれる革新的成果 ~Society5.0への貢献
スパコンを利用した全個体リチウムイオン電池の界面設計
奥野 幸洋 氏
富士フイルム株式会社 解析技術センター
主席研究員
電解液をイオン伝導性固体に置き換えた全固体電池が、充放電の安定性や長寿命性を革新的に向上させる次世代電池として精力的に研究開発が行われています。本講演では、大規模第一原理計算(京コンピュータ利用)によって、全固体電池の開発課題である固体電解質と正極活物質の間に形成されるLi抵抗相の起源にアプローチした研究成果を述べます。
Society5.0実現のために
中山 五輪男 氏
富士通株式会社
理事 首席エバンジェリスト
Society5.0実現に向け、AI、VR、5G、更にはシンギュラリティといったIoTの最新動向を踏まえ、「富岳」に対して社会は何を期待し、富士通は何を目指すのか、わかりやすくお伝えいたします。
「富岳」を利用した革新的流体性能予測技術の研究開発
加藤 千幸 氏
東京大学生産技術研究所
革新的シミュレーション研究センター
センター長・教授
最大、「京」の100倍以上高速な計算が可能なスパコン「富岳」の開発は順調に進んでいますが、我々のグループでは「富岳」の性能を十二分に引き出すことができるいくつかのプログラムの開発を進めています。これらのプログラムでは、車や船のまわりの、空気や水の流れをとても正確に計算できます。また、流れから発生する音を計算することもできます。このため、これまで車や船の開発では必ず行ってきた実験の一部を計算で置き換えることができます。この講演では、プログラムの開発の状況や試験的に実施した計算結果などをご紹介します。
大規模数値シミュレーションによる地震発生から地震動・地盤増幅評価までの統合的予測システムの構築とその社会実装
堀 高峰 氏
海洋研究開発機構
海域地震火山部門・地震津波予測研究開発センター
センター長
国難とされる首都直下地震や南海トラフ地震への事前の備えを適切に進めるためには、地震発生から地震動・地盤増幅に至る地震災害の定量的評価が不可欠です。本プロジェクトでは、富岳での超大規模計算で定量的な評価を実施するための統合的予測システムを構築して、国の行う地震動・地盤増幅評価に実装します。さらに、地震発生やその準備過程の現状把握と予測の解析に取り入れる地下の3次元不均質構造モデルの基盤を整備します。
大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明
宮野 悟 氏
東京大学医科学研究所
ヒトゲノム解析センター
センター長・教授
正常組織においてどのように遺伝子変異クローンが生じるのか、遺伝子変異ないしその組み合わせがどのように細胞の表現型を決定するのか、さらには、その多様性・複雑性のために研究が進んでいないゲノムの構造異常が発がんにどう関わるのか。こうしたがん研究の最先端課題へゲノムシーケンスデータ解析パイプラインGenomon及びネットワーク解析アプリケーションとネットワーク深層学習システムDeep Tensor等による挑戦について述べます。
大規模計算とデータ駆動手法による高性能永久磁石の開発
三宅 隆 氏
産業技術総合研究所
材料・化学領域 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター
研究チーム長
電動車の駆動モータや風力発電機などに使用される高性能永久磁石は、使用量の増加と多様化に伴い、性能、耐熱性、資源リスクなどの諸要因を考慮した材料設計が要求されています。物質の第一原理計算と機械学習を用いた材料開発の成果と課題、展望についてお話しします。
●スーパーコンピュータ「富岳」の開発
清水 俊幸 氏
富士通株式会社
プラットフォーム開発本部
シニアディレクター
昨年12月、神戸の理研計算科学研究センター(R-CCS)へ「富岳」の計算ラックの搬入が始まり、現在、2021年度の共用開始を目指して、「富岳」システムの構築・調整が進んでいます。「京」コンピュータの100倍のアプリケーション性能、省電力性、使いやすさの実現を目指したスパコン開発の取り組みと成果についてご紹介します。
●見える化セッション(11セッション)
”計算科学の見える化”にさまざまな角度から挑戦している「見える化シンポジウム」。
今回はHPCIフォーラム展示会場ステージに「見える化セッション」として登場します。
「富岳」を活用した創薬ビッグデータ統合システム |
荒木 望嗣 氏(京都大学/重点課題1)
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スパコンによる遺伝子解析とそれを支えるソフトウェア |
伊東 聰氏(東京大学医科学研究所/重点課題2)
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地震シミュレーションの見える化 |
藤田 航平氏(東京大学地震研究所/重点課題3)
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広報ビデオ等の制作について |
石谷 隆広氏(名古屋大学/重点課題5)
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「富岳」を活用したクリーンエネルギー実用化加速 |
吉村 忍氏(東京大学/重点課題6)
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MateriApps LIVE!による物質科学シミュレーション事始め |
藤堂 眞治氏(東京大学/重点課題7)
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近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発 |
加藤 千幸氏 (東京大学生産技術研究所/重点課題8)
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計算基礎科学連携拠点(JICFuS)の活動 |
永井 智哉氏(筑波大学/重点課題9)
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Visualization of spiking neuron activity in the whole brain network model |
Carlos Enrique Gutierrez 氏(沖縄科学技術大学院大学/萌芽的課題4-1)
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スーパーコンピュータで作り上げる昆虫脳シミュレーション |
加沢 知毅氏(東京大学/萌芽的課題4-2)
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実験研究者、産業界を対象とした材料系シミュレーション入門 |
吉澤 香奈子氏 (高度情報科学技術研究機構)
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●HPCI紹介セッション(仮)